『文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画』4月15日に発売です。

いよいよ新年度が始まりました。大学でもビジネスの現場でも、あたらしいメンバーを迎えてちょっとわくわくする時期ですよね。
新たなステップに上がった方、そして年度が変わって心機一転、新たな気持ちで日々の業務や研究に取り組もうとされている方に向けてこんな本が4月15日に発売されます。

文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

文系ビジネスパーソンのためのウェブ力最大化計画

突然ビジネス書って、何事?と思われた方に、この本の隠された目的をちょっとご紹介。本書のあとがきにこんなことを記してあるのです。

 1990年代後半以降、ウェブやITというものは数年おきにブームになってきました。2000年前後のITバブル、そして2007年前後のWeb2.0ブーム。こうした盛り上がりは数年続いたと思ったら、突然消え去ってしまいました。IT技術やウェブサービスの中身は確かに進歩しているのに、どうしてブームは消え去ってしまうのだろう、そんなことを考えながら私はとある企業を退職し、研究の道に踏み入ったのでした。

 その答えは、ようやくおぼろげながら見えつつあります。ITやウェブのブームが「ブームとして」消え去ってしまうのはなぜなのか、それは、新たにもてはやされた技術やサービスが、日常生活の中で実用的な目的に用いられてこなかったからではないか、と気が付いたのです。
 電子メールや携帯電話は、数多くの人の日常生活やビジネスの中にしっかりと息づいています。それに対し、ウェブ2.0で取り上げられたサービスはブログやミクシィをはじめとするSNSです。この本をお読みいただいている方の中で、「業務の一環として」ブログやSNSを利用している人はどれだけいらっしゃるでしょうか。ほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか。

 私が2008年に出版した『ウェブは菩薩である』(NTT出版)、ならびに同書の原案となった私の修士論文は、本書でも大きく取り上げたソーシャルブックマークを分析対象としていました。しかし、修士論文を書き終えて約2年、『ウェブは菩薩である』が出版されて約1年、ソーシャルブックマークやRSSリーダーは、いまだにITについて詳しい一部の人が使うマイナーなツールに過ぎません。せっかく日本でも根付き始めたこの知の公開・共有による価値創造は、このままではウェブ2.0ブームの終焉とともに息絶えてしまうかもしれない、そんな危機意識が芽生えました。
 これは私の個人的な研究にのみ関わる話ではありません。2006年から2007年にかけて、テレビや新聞に「イノベーション」という言葉が踊りました。イノベーション自体は経済学者シュンペーターが20世紀初頭に提唱した概念で、古くから経済学や経営学の分野では一般的に用いられる言葉です。ところが、なぜか日本では一時のブームとして消費され、2009年になるとテレビや新聞では、ほとんど見かけなくなってしまいました。イノベーションの重要性はますます高まっているのにもかかわらず、です。日本において、ホワイトカラー(文系ビジネスパーソン)の生産性向上、そしてイノベーションをもたらすアイデアを生みだす力の醸成は、大きな課題であり続けているのです。

 この本は「本当は日常業務にものすごく役立つウェブ技術の使い方」を普及させることで、ウェブ技術が日常生活や業務に根付いて欲しいと思って執筆しました。そしてこの本で紹介した方法は、取り組む人が増えれば増えるほど、共有されるサイトやタグが増えていき、それぞれがより大きなメリットを得ることができるものです。その事はあなた自身のより大きな成功につながるのはもちろん、日本の社会経済が元気を取り戻すきっかけになると信じています。
 もちろんウェブは、日本国内だけに閉じているわけではありません。ウェブを通じて、世界中とより大きな活力が共有されること、それが私の思い描く理想です。あなたもぜひこの本で紹介したソフトやサービスを利用して、この理想の実現に参加してください。

ちょっと長い引用ですが、この文章だけでも多くの方に読んでいただきたい私の心からのメッセージです。より多くの方に、ウェブで実現される「意図せざる協働」(詳細は『ウェブは菩薩である』をご覧ください)に参加いただきたい、という気持ちなのです。というわけで、皆様よろしくお願い申し上げます。