OASIS2009とICIS2009への参加

まだ週刊SWXGの更新はないのか、と首を長くして待っていただいている皆様(そんな方、どれくらいいらっしゃるのでしょうか、、、)、申し訳ありません。更新が遅れているのは、国際学会に参加していたからです。というわけで、本日はその国際学会に関するエントリを。

参加していたのはIFIP Working Group 8.2が主催するワークショップ、Organizations and Society in Information Systems (OASIS) 2009です。IFIPというのは、こちらのエントリで紹介した通り国際情報処理連合(International Federation of Information Processing)の略称です。WG=Working Group 8.2 はInformation Systems and Organizations、つまり「情報システムと組織」に関する研究をフィールドとします。

OASISというワークショップは、経営情報学系の国際学会AIS (Association for Information Systemsが開催する最大の会議、ICIS (International Conference for Information Systemsに併催して実施されます。本年のICISはアメリカ南部の砂漠地帯、アリゾナ州フェニックスでの開催です。私は"Effect of Openness, Open source and Standardization in Building attractive platform"というタイトルで発表してまいりました。

IFIP WG8.2はビジネスミーティングに2回参加するとメンバー入りが認められるということで、昨年に続いて2回目の参加ということで、私もワーキンググループのメンバーになりました、なんていうさりげないご報告もさせていただきつつ。

OASIS自体は予稿集をご覧いただければ分かる通り小規模な(それでも2トラック走っているわけですが)ワークショップですが、ICISは最大の会議というだけあって4日間にわたりかなりの数発表がなされます。どんな様子であったかは、Twitterのハッシュタグ、#icisをご覧いただければと思いますが、私が注目した発表を2,3紹介させていただければと思います。

Xitong Li, Stuart Madnick, Hongwei Zhu, and Yushun Fan: Reconciling Semantic Heterogeneity in Web Services Composition
ウェブサービス連携におけるセマンティックの重要性とその処理に関する発表。質疑応答で、利用時ごとに多様な文脈に対しどのように対処するか、どこまで対処出来るかについて激論が。今回、個人的には一番楽しい発表でした。

Daning Hu and J. Leon Zhao: Discovering Determinants of Project Participation in an Open Source Social Network
こちらはオープンソースソフトウェア開発に関する貢献度ネットワーク分析の発表です。OSS活動のネットワーク分析(たいていはメーリングリストとかを題材とする)というのは、結構昔から行われてきたことですが、この研究が新鮮だったのは、分析対象のデータをOhlohというオープンソース活動のポータルCMSからとってきているところでしょう。
結論は、OSS開発への参加動機として有効な要因は
1)最も好みの言語でプロジェクトが進められている
2)他の参加者から褒められる
というところでした。
2)はともかく、1)の結論から、言語の支配力について再認識した次第。

Gal Oestreicher-Singer and Lior Zalmanson: "Paying for Content or Paying for Community?" The Effect of Social Involvement on Subscribing to Media Web Sites
こちらはLast.fmの蓄積データ分析から、ウェブ上におけるコンテンツによる価値創造メカニズムを解明仕様とした研究。
結論は、高品質ストリーム、コンテンツへの優先アクセス、広告非表示、個人ページに対する付加的情報提供、、、というサービスが金になる。新味はないけど、そりゃソーダという感じ。ま、ニコ動にしろ他の事例を見ても、結局こういう手法が王道なのかな、と。

全ての論文はAIS Electronic Library (AISeL)からダウンロード出来ますので、興味のある方はぜひご参照ください。

というわけで、これからSWXGテレコンのまとめにとりかかります。こちらの公開は数日(で大丈夫かな、、、?)お待ちくださいませ。