Chris Messina、Activity StreamとDistributed Social Networking applications、そして"The death of the URL"
先日宣言したとおり、SWXGの電話会議のまとめをこのブログでやっていきたいと思います。第一弾は12月2日、、、日本時間では3日のAM1:00スタートの会議です。
ログは以下のURIで公開されていますので、御覧下さい。
過去の電話会議もこちらでおもいっきり公開されていますので、興味のある方はガンガンチェックしてみてください。
結局URIリストに堕している点もありますが、その点はご容赦を。
Chris Messina
さてこの電話会議、2010年3月に出す報告書のとりまとめのためのやりとり、プラスゲストスピーカーを招いて話を聞くというのが定番パターンみたいなのですが、今回のゲストはChris Messina。詳しいbioはWikipedia(en)を参照ください。
彼の活動は幅広いのですが、そのうちの一つがDiSo Project。DiSoとは、Distributed Social Networking applicationsのアクロニムで、日本語にすると分散的に実装される社会ネットワークアプリケーションってことですね。具体的にはMicroformatsやOpen Stack/ OAuthとかがあてはまります。このプロジェクトの議論はGoogle Groupで行われています。
今回の会議で取り上げられたトピックは、DiSoプロジェクトの中のactivity streamsです。activity streamsとは何かといいますと、すごく単純化してしまえば「ライフログ情報に適用されるATOMの拡張」です。詳細はSlide Show、こちらのブログポスト(Where we’re going with Activity Streams | FactoryCity)やこちらの記事(米Microsoft、「Facebook」と「Windows Live」との連携に「Activity Streams」を採用 - SourceForge.JP Magazine)を参照ください。
なおOpera向けのActivity Stream Generatorも既に存在しています。
追記:2010年3月17日
SXSW (South by Southwest)でChris MessinaがActivity Streamsに関して行った発表のスライドがsliceshareで公開していますので、リンクを貼っておきます。
Activity Streams and Other solutions
で、Chris本人も語っている通り、こういった仕様の拡張で問題になるのがname spaceとか語彙の整理。Activity StreamのチームはこんなDraft: Atom Activity ExtensionsやDraft: Atom Activity Base Schemaを出しています。
他の解決手段の提案としては、、、Henry StoryがAtomOwl Vocabulary Specificationを提唱していたりもしますし、W3C標準にもSKOS Simple Knowledge Organization System Referenceってものもあります。
会議の中で出てきた取り組みとUser Laborってのもあります。User Labor Presentation, Digital Labor Conference, New School, NYを見ると本当に面白い取り組みで、、、っていうか、どこかでいろいろなものを修練させていかなければ、openだけどインターオペラビリティがないという不思議な状況になりかねないわけです。ここらへんは、後で出てくる
W3Cと他の標準化活動との関係性のトピックで改めて検討したいと思います。
あと、語彙という点であれば、こんなのもあります。
- 状態としてはこちら:Online Presence Ontology
- 動詞としてはこちら:Verb Index
- あ、SIOC (Semantically-Interlinked Online Communities)もSIOC Core Ontology Specificationを作ってますね。
- LinkedInは独自にこんなの作ってます。LinkedIn Developer Network: Get Network Updates API
- さらに、こんなのも。Online Presence Ontology - Actions Module Specification
あと、とりあえずライフログデータをアグリゲーションできればいい、ということであれば、あらゆるソーシャルサービスのデータをRSSフィードに変換するサービス、Cliqset FeedProxyっていうのもありますね。
それからOSSコミュニティによって作られている友人のアクティビティ情報集約・交換ツールにSocial Desktopなんてものもあります。こちらはデータフォーマット規格ではなくて、ソフトウェアなわけですが。
このような同じような目的で進められている多様なプロジェクトも、インターオペラビリティを確保した標準*1ではないのが残念なところ。その中でactivity streamはATOMの拡張であり、インターオペラビリティとオープン性の確保という点では万全である、というのがChrisの主張です。
W3Cと他の標準化団体・標準化アクティビティとの関係性
議論の最後はDiSoやmicroformats.org、Open ID foundationなどとW3Cとの関係性についてでした。Chrisはインターオペラビリティとオープン性の確保を実現し続けることがW3Cの役割であり、先程正式に発足したばかりのOpen Web Foundationへの支援、他の団体との協働を進めるべきとの見解を表明していました。ここらへんは、結構大きな課題ですよね。
研究者の立場に戻ってコメントすると、ウェブというのは国家や国連といった公的機関によって主導されているわけでも、特定企業のデファクトで固められているわけでもなく、かといってW3CというSDO*2以外の場所から草の根的に様々な規格が提案され、いつのまにか複数のサービス/サイトで採用されて、、、と、過去のプラットフォーム研究や標準化研究の対象とは全く異なる次元で動いている世界です。特に草の根的な動きというのは、本当に表から見えにくい(別にclosedなわけではないですが、キーパーソンを知っていて、その人の発信する情報(blog, twitter)をきちんとフォローできていなければ何もわからないという属人的な世界。しかもキーパーソンは有名企業に所属しているわけでもないわけで、、、)分析するにはかなり大変な世界ですが、ユーザの採用/非採用、利用/非利用というはっきりした選択・意思決定をもとに、個人や小規模スタートアップが開発したものであっても使い勝手がよければ採用されるという透明性、ダイナミックさは、やはりウェブの魅力を形作っている大きな要因だと考えています。このブログがそんな動きを少しでも多くの人に伝えられるといいな、と思っています。*3
The death of the URL
Chirisとの議論の中で、というよりもOpenIDがURIを本人認証のキーとして用いている点に関する議論の中で、"The death of the URL"というブログポストが取り上げられました。
The death of the URL | FactoryCity
サラッと目を通したところ、、、、、、
追記・修正とお詫び2009/12/09
こちらの内容についても誤認であるという指摘を頂きました。
本当に反省です。
というわけで、上記ポストはきちんと読み込んで、改めて内容の解説等のポストをしたいと思います。