Live Searchのキャッシュバックキャンペーン

GoToCom(現オーバーチュア→Yahoo! Search Marketing)が検索キーワードの販売を始めて幾年月,サーチマーケティングのお金の流れはキーワード購入という,広告主→ネットワーク(具体的にはGoogleYahoo!,MS:Live Search)の形態だったのだが,とうとう異なる流れが提示されてきた.

検索広告ではGoogleどころかYahoo!にさえ置いてきぼりにされているMSのLive Searchが自社の検索経由でeコマースサイトから商品を購入した場合にキャッシュバックするというLive Search cashbackをローンチさせた.現時点では米国内のみの実施.

これにより,広告主→ネットワーク→顧客という流れができた,というわけです.アメリカはクーポンがSPの手法として日本以上に普及している国なので,いかにリファンドというインセンティブを消費者の目の前にぶら下げるというのはよくある話.それだけに,現金というもっとも効きそうなインセンティブ検索エンジン選択にどこまで影響を及ぼすことが出来るかは見ものでしょう.

すでに英語圏では,この新サービスに対しさまざまな論考があがっています.肯定的なのがTechCrunchのThe Empire Strikes Back: Our Analysis Of Microsoft Live Search Cashbackって,見出しが帝国の逆襲ですよ.

否定的なのがNYTのブログ,Microsoft Should Know Money Can’t Buy Love,金で心は買えないぜ,とこちらもなかなかウィットにとんだ見出し.

そして,両者の言い分を整理して,でもそれなりに成果は挙げるんじゃない,としているのがPortfolio.comのブログ,Good Luck with the Bribing, Microsoftです.

では実際にはどんなサービスなのか,試してみました.
LiveSearch,もちろんUS(英語)でdigital cameraというキーワードで検索してみたのがこちら

右側の検索連動広告表示部分にLive Search cashbackというアイコンがついた広告が出現.

こちらをクリックするとこんなページにたどり着きます.

このページを見る限り,検索経由で特定のeコマースサイトに訪問して,そこで買い物したらキャッシュバックという,いわゆるクーポン的なものではなく,特定キーワードの検索連動広告の1位に,Microsoft自前の価格比較サイトが用意され,そこで買い物するとキャッシュバックされるというものらしい.

このサービス設計だと,競合が検索エンジンではなく,価格比較検索(アメリカだったらfloogle,日本だったら価格コムやECナビ)になるし,ブラウザの検索バーでどの検索エンジンを使うかということになると,アマゾンや楽天だって十分競合になってしまいます.

このサービスが成功するには

  1. 価格比較検索サービスを提供する競合に打ち勝つ
  2. その上で,日常の検索でもLive Searchを使う習慣を身につけさせる

という2つのステップを踏まなければならないわけです.大変そうだな,というのが率直なところ.

ただ1つ言えるのは,検索広告と価格比較など,ウェブサービスのセグメントがこれまで以上にシームレスになっていく流れがMicrosoftの今回のサービスローンチから見て取れるということです.消費者のウェブとの付き合い方がこんどどのように変わっていくのか,考慮しなくてはならないプレイヤーや変数をクリアに見極める目がますます必要になるのではないでしょうか.