W3C Social Web Incubator Group (SWXG)

よほど注意深い方でない限り、気づかれないかとは思いますが、私のプロフィール情報に書かれている組織名がさりげなく増えていたりします。その中の1つにW3C Social Web Incubator Group (SWXG)があります。

とりあえず、ここではまずW3Cについての入門編知識を紹介したうえで、SWXGの紹介をさせていただければと思います。

注意

本エントリを含む、このブログの内容は、深見嘉明の個人的な意見であり、慶應義塾、ならびにW3C、SWXG等の意見を代表しないことをあらかじめ表明しておきたいと思います。オフィシャルな見解は、それぞれのオフィシャルサイトや広報に確認してください。

2009/12/08追記
早速修正点を指摘いただきました。謹んでお詫びいたしますとともに、修正いたします。

World Wide Web Consortium (W3C)とは

W3Cというのは、ウェブに関する標準技術の開発、普及を担う団体です。標準規格にはde factoとde jureがあります。de jureスタンダードは全てISOやITUといった公的機関、ないしは各国政府が主な構成メンバーとなっている団体によって定められ、各国政府がそれを認証するといったプロセスがとられているという認識をもっていらっしゃるかたも多いかと思いますが、インターネット関係の団体はIETFにしろ、ICANNにしろ、政府や国連などの公的団体によって作られた機関ではありません。主に大学等の研究機関や企業を構成メンバーとし、独立的な運営がされています。W3Cもそんな組織の1つです。

W3Cの果たしている役割

皆さんはこのブログをどのようなハードウェアを使い、どのブラウザでご覧になっているでしょうか。ハードウェアがPCであろうと、Macであろうと、さらにはiPhoneであろうと、ガラケー(敢えてこの言葉をつかっちゃいます。善きにつけ、悪しきにつけ便利だし)であろうと、問題なくコンテンツをご覧いただけているはずです。いってみれば当たり前のことなのですが、このことが実現するためには、1つのコンテンツデータソースがあらゆるデバイス/ソフトウェアで正しく表示されなければなりません。W3Cはコンテンツデータリソースの作り方: HTMLとか、CSSとか、、、etcの規格を策定し、普及させることで、誰でも、どのような環境でもウェブを同じように利用できるための環境づくりをしているわけです。

W3Cのホスト/メンバー

既に述べているように、W3Cは政府などの公的機関によって創られた団体ではありません。W3CはWWWの開発者ティム・バーナーズ・リーによって創設されました。W3Cは米国MIT、欧州ERCIM、そして日本の慶應義塾大学SFC研究所がホスト*1を担っています。日本にもウェブの標準規格を策定する、つまりウェブの最新技術/環境を構築する拠点が存在することは意外に知られていないようですが、実は日本も重要な役割を担っているんですよ、、とちょっと宣伝。
各拠点はhostという名称で呼ばれるように、あくまでもウェブ技術の発展を「お手伝いさせていただく」というスタンスを貫いています。では主役は誰かといいますと、ウェブ上でコンテンツやプラットフォームを開発・運用する企業や個人の方々と考えられています。W3Cの主役はメンバー企業様であり、プラスして個人で多大な貢献をされている方がinvited expertとして招かれています。
なお、W3Cは会員制をとっており、メンバーとなるには会費が必要です。というよりも、メンバー企業様からの会費でもってW3Cは運営されているわけです。なにせ公的機関・政府から独立した団体ですからね。会費は以下のような活動のために拠出されています。

*1:ホストに関する説明のあるW3Cの公式文章としては、W3C 欧州ホストの ERCIM への移管についての中にある「W3C は、地域的な活動拠点として機能するとともに、スタッフの実際の活動拠点も提供する非営利目的の組織に設置されています。これらの組織を W3C ホストと言います」がわかりやすいかと。